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日本の民法は,意思主義を採用しているため,契約は,原則として,意思表示のみで成立します(民法176条,555条,601条等参照)。また,近代法における「契約自由の原則」の中にも,「契約締結方式の自由」があります。そこには,契約を結ぶ方式は自由であり,契約当事者の意思の合致さえあれば,その方式は,どのようなものでもよいという内容が当然に含まれています。
したがって,「契約書を作成しなければ,契約は,無効である」「契約書に調印していない以上,契約は,有効でない」ということはありません。
しかし,契約当事者の意思表示のみでは,それは単なる口約束に過ぎないので,後日,契約で定めた内容が不明確になるおそれがあります。
そこで,これを明らかにするために,契約内容を,契約書によって書面化する必要があります。
公証人が作成する契約書のことを公正証書といいます。
公正証書には,通常の契約書と比べて,次のような長所があります。
(1)
真正に成立した公文書としての推定を受け(民事訴訟法228条2項),強い証拠力を持ちます。
(2)
執行力があるため,裁判を提起しなくても,確定判決と同一の効果を有します(民事執行法22条5号)。ただし,この強制力を得るためには,公正証書の文中に,強制執行認諾文言を記載する必要があります(この公正証書のことを,特に執行証書又は特定公正証書といいます)。
なお,この執行証書は,金銭の一定の額の支払又はその他の 代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とするものに限ります。
(3)
公正証書に記載された日付には,確定日付としての効力が認められます(民法施行法5条1号)。確定日付とは,その書面が確かにその日に作成されたということの公証力です。
(4)
公正証書は,その原本が公証役場に保管されているので,必要に応じて請求することにより,いつでもその謄本を交付してもらうことができるため,紛失や滅失のおそれがありません。