遺言
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 遺言とは,何ですか?

 遺言(ゆいごん,いごん)とは,自己の財産を,自己が死亡した後に最も有効かつ有意義に活用するため,死後の法律行為を定める遺言者の最終意思の表示です。
 遺言がないために,相続を巡り親族間で争いの起こる例が多々ありますが,このような争いを未然に防止するために,遺言者自らが,自己の財産の帰属を決定することに主な目的があります。 なお,非嫡出子を認知する等の法律で定められた身分上の事項も定めることができます。

 遺言がない場合は,どうなりますか?
 遺言がない場合は,民法が相続人の相続分(法定相続分,民法900条)を定めており,これに従って遺産を配分することになります。
  この法定相続分は,あくまで一般的な規定なので,これに従うと相続人の実情が考慮されずに相続人間の実質的な公平が図られないという場合も少なくありません。例えば,本人と同居してずっと身の回りの世話をしてくれた子と音信不通の子との間では,その相続分に差を設けるほうが公平であるともいえます。しかし,このような差を本人が死亡後に相続人の間で話し合って定めること(遺産分割協議,同法907条)は,大変困難です。
  したがって,遺言により本人の希望を明確にしておくことは,相続人のためにもとても重要なことです。

法定相続分については,こちらをご参照ください
遺産分割協議
については,こちらをご参照ください

 遺言書を作成するのが望ましい場合にはどんな場合がありますか?
 遺言書を作成することにより,さまざまなトラブルを未然に防ぐことができ,また自分の生前の意思を遺族に対して伝えることができます。次のいずれかに該当する場合は,遺言書を作成することをお勧めします。
 夫婦に子がいない場合
   相続人は,配偶者だけではありません。被相続人に子がいない場合の配偶者以外の血族相続人の相続権の順位は,(1)直系尊属,(2)兄弟姉妹です(民法889条1項参照)。長年連れ添った配偶者にすべての財産を残したい場合には,遺言が有効です。
 特定の相続人に相続させたい場合又はさせたくない場合 (例.配偶者に対して住居を相続させたい場合,身体障害者の子・未成年の子に多くの遺産を相続させたい場合,老後の世話をすることを負担として子に多くの財産を相続させたい場合,不義理な子に相続させたくない場合,先妻の子に相続させたくない場合等)
   これらの場合には,遺留分(同法1028条以下)に注意する必要があります。
                       遺留分については,こちらをご参照ください
 相続人がいない場合
   特別縁故者(例.内縁の妻等)が存在しない限り,遺産は,国庫に帰属します(同法959条)。したがって,この場合に,特にお世話になった人に遺贈したり,お寺・教会・社会福祉関係の団体・自然保護団体・各種の研究機関等に寄付したりするときには,遺言をしておく必要があります。
 行方不明の相続人がいる場合
   家庭裁判所に対し,不在者財産管理人を選任(同法25条)する必要,又は失踪宣告審判の申立てをする必要(行方不明者の生死が不明な場合,同法30条)が生じます。
 再婚している場合
   先妻の子と後妻がいる場合,両者の間では,もともと感情の対立があります。父(夫)が生きている間はその感情は潜在化していますが,死亡した途端に顕在化し,遺産を巡って激しい対立が生じる傾向があります。
 お世話になっている人(例.子の配偶者,子がいる場合の兄弟姉妹等)や相続人以外の親族(例.長男の嫁,孫,甥,姪等)に遺贈したい場合
   これらの人は法定相続人ではないため,遺言がないと相続権がありません。また,口約束のみでは,争いが生じるケースが多いです。
 内縁の妻がいる場合
   いわゆる愛人のことだけではなく,何らかの事情により婚姻届が提出されていない事実上の妻も含みます。内縁の妻には,原則として法律上の相続権はありません。
                               内縁については,こちらをご参照ください
 施設・団体等に寄付をしたい場合
 遺産が事業用財産・農地の場合
   均分相続にはなじまないため,無理に分割すると経営が破綻する場合が多いので,事業の承継・維持のためには,遺言が有効です。
10  葬式の方法に特別な希望がある場合(例.親族のみによる密葬,香典・供物・供花の辞退,特定の宗教による葬式等)
11  ペットの世話を第三者に依頼したい場合
 遺言には,どんな種類がありますか?
 遺言には,大きく分けて普通方式特別方式の2種類があり,さらにそれぞれ次のとおり分類されます。

1 普通方式

(1)  自筆証書遺言(民法968条1項)
   遺言者が遺言書の全文,日付及び氏名を自書し,これに押印することによって成立する方式。
(2)  公正証書遺言(同法969条)
   2人以上の証人を伴って,公証人の面前で遺言内容を確認し,その内容の正確なことを承認した遺言者及び証人が署名押印することによって成立する方式。
(3)  秘密証書遺言(同法970条)
   遺言書の本文は自書でなくてもよく,遺言者が遺言書に署名・押印し,この証紙を封入・封印し,これを公証人及び証人2人の前に提出し,公証人に遺言書であることを公証してもらうことにより成立する方式。遺言の存在を秘密にすることはできませんが,遺言書の内容を秘密にできます。


2 特別方式

(1)  危急時遺言(一般危急時遺言,離船危急時遺言)(同法976条,979条)
    死期が迫り,署名押印もできない遺言者が口頭で遺言し,証人がそれを書面化する方式。
(2)  隔絶地遺言(伝染病隔離者遺言,在船者遺言)(同法977条,978条)
    遺言者が一般社会との自由な交通が遮断された場所にいるため,普通方式による遺言ができない場合に認められる方式。
 公正証書遺言を作成する長所には,何がありますか?
 公正証書遺言は,公証役場で公証人が作成するため,他の方式で遺言書を作成する場合と比べて,次の長所があります。
 遺言書の原本が公証役場に保管されるため,遺言書の偽造や紛失の 心配がありません。
 公証人が作成するため,形式の不備などで無効になることがありません。
 相続開始の際に家庭裁判所の検認を受ける必要がなく,遺言書を開封することができます(同法1004条2項)。

公正証書については,こちらをご参照ください

 遺言でしかできない行為には,何がありますか?
 遺言書と題すれば,どんな内容を記載しても効力が生じるものではありません。遺言として効力が生じるもの(遺言事項)は,法律で制限されています。中でも,遺言書を記載する方法によることでしか効力が生じない行為には,次のものがあります。

 身分上の行為

(1) 未成年後見人の指定(民法839条)
(2) 未成年後見監督人の指定(同法848条)

2 相続に関する行為

(1) 相続分の指定・第三者への指定の委託(同法902条)
(2) 遺産分割方法の指定・指定の委託(同法908条)
(3) 遺産分割の禁止(同法908条)
(4) 相続人相互の担保責任の指定(同法914条)
(5) 遺言執行者の指定・指定の委託(民法1006条1項)
(6) 遺留分減殺方法の指定(同法1034条ただし書)

3 財産処分に関する行為

(1) 遺贈(同法964条)
遺言をすることができる人,できない人はありますか?
遺言をすることができる能力のことを遺言能力といい,遺言者は,遺言をする時においてその能力を有しなければなりません(民法963条)。問題となるのは,遺言者が次のような場合です。
 未成年者
   満15歳に達した者は,単独でできます(民法961条)。
 成年被後見人
   事理弁識能力(判断能力)を一時回復しているときは,2人以上の医師の立会いを得て,単独でできます(同法962条・963条)。
 被保佐人・被補助人
   単独ですることができ,保佐人・補助人の同意は不要です(同法962条)。
 意思無能力者
   遺言は無効です。
 夫婦が同じ遺言書で遺言をすることができますか?
 遺言は,2人以上の者が同一の証書ですることができません(共同遺言の禁止,民法975条)。
 遺言書を発見した場合は,どうすればよいですか?
 遺言書が公正証書遺言以外の場合は,遺言書の保管者又はこれを発見した相続人は,相続の開始を知った後遅滞なく,遺言書を家庭裁判所に提出して,その検認の申立てをしなければなりません(家事審判法9条1項甲類34号参照)。そして,封印のある遺言書は,家庭裁判所で相続人などの立会いのうえ,開封しなければなりません(民法1004条)。
 なお,遺言書を提出することを怠り,その検認を経ないで遺言を執行し,又は家庭裁判所外においてその開封をした者は,5万円以下の過料に処せられますので(民法1005条),ご注意ください。
 遺言は,後で取り消すことができますか?
 遺言者は,いつでも,遺言の方式に従って,その遺言の全部又は一部を取り消すことができます(民法1022条)。
 自分に不利な遺言を破り捨ててしまった場合は,どうなりますか?
 相続に関する遺言を偽造し,変造し,破棄し,隠匿した者は,相続欠格に該当するので(民法891条),相続人となることができなくなります。
 被相続人が遺言書を作成していたかどうかを知る方法はありますか?
 平成元年(東京都内は,昭和56年)以降に作成された公正証書遺言であれば,日本公証人連合会において,全国的に,公正証書遺言をコンピューターで管理しています。そのため,相続人,その承継者,代理人又は受遺者その他の法律上の利害関係人は,遺言の効力発生後,公正証書を保存している公証役場でその原本の閲覧や謄本の交付を請求することができます。
 遺言書の存否が不明な方は,最寄りの公証役場にお問い合わせください。
ご自身で対応されることに不安がございましたら,遠慮なく当職事務所にご相談ください。

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遺言書の作成(遺言書の起案・作成指導・作成嘱託)
*普通方式
 ・ 自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言
*特別方式
 ・ 危急時遺言(一般危急時遺言)
*遺言による一般財団法人の設立(平成20年12月1日施行) →こちらもご参照ください
遺言期日の立会(証人),証人のご紹介
  職務上の守秘義務については,こちらをご参照ください
遺言の執行(遺言執行者の就任,遺言執行の支援)
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