離婚・家族
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目 次

Ⅰ 離 婚
 離婚をする方法には,何がありますか?
 離婚をするには,次の4種類があります。なお,調停離婚を行う前に裁判離婚をすることはできませんので,ご注意ください(調停前置主義,家事審判法18条)。
(1)  協議離婚
 夫婦間で協議をし,その協議が調えば(離婚意思の合致),市区町村役場に対して離婚届を提出して,離婚することができます(民法763条)。
(2)  調停離婚
 夫婦間の協議が調わない場合は,夫婦の一方は,家庭裁判所に対し,離婚調停を申し立てることができます(家事審判法17条)。
(3)  審判離婚
 家庭裁判所は,離婚調停が成立しない場合に相当と認めるときは,職権で,離婚させる旨の審判をすることができます(同法24条1項前段)。当事者又は利害関係人が,審判の告知を受けた日から2週間以内に異議申立てをした場合は,その審判は効力を失うので(同条2項),実務上,ほとんど例がありません。
(4)  裁判離婚(裁判上の離婚)
 離婚調停が成立しない場合は,夫婦の一方は,家庭裁判所に対し,離婚裁判を申し立てることができます(民法770条)。
 離婚届を受理されたくない場合は,どうすればよいですか?
 このような場合,離婚届不受理申出制度を利用することができます。これは,本人の意思に基づかない戸籍届が出されるおそれがある場合に,その旨を申し出ることにより,本人の戸籍に無効な届出の記載がされないようにする制度です。
 例えば,(1)一旦は離婚をする意思を持って離婚届に署名をしたが,その後意思が変わった場合や,(2)まったく離婚をする意思はないが,離婚届を偽造されるおそれのある場合などに不受理申出書を提出しておくと,離婚届が提出されても本人の戸籍にその離婚の記載がされることはありません。
 協議離婚はいつ効力が生じるのですか?
 協議離婚は,戸籍法の定めるところにより届け出ることによって成立し,その効力を生じます
創設的届出,民法764条・739条1項)。
 裁判離婚の場合,離婚原因には,何がありますか?
 民法には,裁判上の離婚原因として,次の5種類が定められています(民法770条1項)。
(1)  不貞行為
 配偶者のある者が自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいいます。
(2)  悪意の遺棄
 「遺棄」とは,婚姻の本質的効果である夫婦間の同居・協力・扶助の義務(同法752条)又は婚姻費用分担義務(同法760条)に違反する行為であり,これらの義務のうち一つでも不履行があれば成立します。また,「悪意」とは,上記の各義務の不履行によって婚姻関係が破綻するかもしれないことを知り,かつ,これを容認することをいいます。
(3)  3年以上の生死不明
 最後に生存を確認したとき以降,生死いずれとも判明しがたい状態が3年以上にわたって継続している状態をいいます。
(4)  回復の見込みのない強度の精神病
 「回復の見込みがない」とは,不治の病ということであり,「強度の精神病」とは,病気の程度が婚姻の本質的効果である夫婦としての同居協力扶助義務(同法752条)に違反するほどに重症であることをいいます。
(5)  その他婚姻を継続し難い重大な事由
 「婚姻を継続し難い重大な事由」とは,婚姻関係が深刻に破綻し,婚姻の本質に応じた共同生活の回復の見込みがない場合をいいます。その判断に当たっては,婚姻中における両当事者の行為や態度,婚姻継続意思の有無,子の有無・状態,さらには双方の年齢・健康状態・性格・職業・資産収入など,当該婚姻に表れた一切の事情が総合的に考慮されることになります。
 離婚に伴う給付金には,どんなものがありますか?
 離婚に伴う給付金には,次の3週類があります。
(1)  財産分与(民法768条1項)
 婚姻中に夫婦の努力によって形成された財産の清算で,離婚後の扶養料,過去の婚姻費用の清算も含まれます。財産分与の中に慰謝料を含めて請求してもよいし,慰謝料のみを請求してもよいです。
(2)  慰謝料(同法710条)
 精神的苦痛に対する損害賠償で,(1)有責配偶者(離婚原因を作出した配偶者)が支払う離婚原因慰謝料と,(2)離婚によって配偶者としての地位を失うことによる離婚自体の慰謝料とに分類されます。
(3)  養育費
 未成年の子が社会人として自立するまでに必要となるすべての費用のことをいいます。具体的には,衣食住に必要な経費,教育費,医療費,最小限度の文化費,娯楽費,交通費等の合計額です。
 面接交渉権とは,何ですか?
 面接交渉権とは,現実に,離婚した夫婦の子どもを監護・教育することができない(していない)親が,その子と個人的に面会・接触する権利をいいます。法律の条文による直接の規定はありませんが,判例や裁判所の実務でも認められています。
 離婚をした場合,離婚前の姓を名乗ることができますか?
 婚姻によって姓を改めた者は,離婚によって婚姻前の姓に戻ります(民法767条1項)。しかし,離婚によって姓が戻った者は,離婚の日から3か月以内に届出をすることによって,離婚の際の姓を称することができます(婚氏続称,同条2項)。

 年金分割とは,何ですか?
 年金分割とは,離婚をしたときに,厚生年金の保険料納付記録標準報酬)を当事者間で分割することができる制度で,次の2種類があります。
(1)  合意分割(制度開始時期:平成19年4月1日)
 平成19年4月1日以降に離婚等をした場合,離婚当事者の婚姻期間中の厚生年金(報酬比例部分)の保険料納付記録(夫婦の合計)を離婚時(離婚後2年以内)に限って,離婚当事者間で分割できる制度です。
分割の際の割合(按分割合。上限は50%)は,

ア 離婚当事者の合意,又は,
イ 離婚当事者間で合意に至らない場合等は離婚当事者の一方の申立てによる裁判手続

  により定めます。
(2)  3号分割(制度開始時期:平成20年4月1日)
 平成20年5月1日以降に離婚をした場合,離婚当事者の一方の請求により,婚姻期間中の第3号被保険者期間について,第2号被保険者の厚生年金の保険料納付記録の2分の1(固定)の分割を請求することができます。
  合意分割とは異なり,当事者間で合意をする必要・請求期間の制限はありません。
  なお,制度開始時期と対象となる離婚の時期が異なるのは,離婚時の前月までの期間が分割の対象となるためです。
 合意分割の対象時期に,3号分割の対象となる期間が含まれている場合,それぞれの年金分割の請求が必要なのでしょうか?
 合意分割の対象期間に,3号分割の対象となる期間が含まれている場合,合意分割を請求した時点で,3号分割の請求があったものとみなされます。
 したがって,合意分割の請求をした場合は,改めて3号分割を請求する必要はありません。
 年金分割の請求は,いつまでにしなければならないのでしょうか?
 年金分割の請求は,原則として,離婚をした日の翌日から起算して2年を経過した場合は行うことができません(例外.裁判手続により年金分割の割合を定めた場合)
Ⅱ 家 族
 夫の収入に基づく夫名義の預金は,誰のものですか?
 民法では,夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は,その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産)とし,夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は,その共有に属するものと推定する,と規定しています(民法761条)。
 そして,判例は,婚姻中の夫の所得自体は,その所得のために妻の協力が不可欠のものであるとしても,夫の特有財産であると判断しています(最判昭和36・9・6)。したがって,夫の収入に基づく夫名義の預金は,夫のものであるといえます。 ただ,夫婦相互の協力・寄与に対しては,財産分与請求権,相続権,扶養請求権等の権利を行使することにより,夫婦間に実質上の不平等が生じないよう立法上の配慮がされています。
 扶養義務を負うのは,誰ですか?
 扶養とは,法律上一定の親族の間で互いに生活の扶助をすることです。扶養義務を負う者には,次の2種類があります。
(1)  直系血族・兄弟姉妹
 法律上,当然に扶養義務を負います(民法877条1項)。扶養義務者が複数いる場合は,扶養すべき者の順位は,(1)当事者間の協議で定め,(2)協議が調わないとき,又は協議をすることができないときは家庭裁判所が定めます(同法878条)。
(2)  3親等以内の親族
 特別な事情がある場合には(直系血族・兄弟姉妹が存在しないか又はそれらの者に扶養能力がない場合等),家庭裁判所は,3親等以内の親族に対して,扶養義務を負わせることができます(同法877条2項)。
 内縁とは,何ですか?
 内縁とは,実質上婚姻生活をしていながら届出を欠くために,法律上は夫婦と認められない男女の結合をいいます。その本質は,婚姻に準ずる準婚関係とされています(準婚説,最判昭和33・4・11)。
 内縁と法律上の婚姻は,どこが違うのですか?
 内縁に認められる法律上の権利義務,認められない権利義務は,次のとおりです。

1 内縁夫婦の権利義務(婚姻法の準用)

(1) 同居・協力・扶助の義務(民法752条準用,大判大正10・5・17
  cf.  名古屋高決昭和33・12・10
 内縁は,事実上の関係であり,当事者の一方が内縁継続の意思を失って別居し,共同生活の維持について協力しない場合は,内縁は解消されたものと判断され,他方が一方に同居協力請求をすることはできない。
(2) 婚姻費用分担義務(同法760条準用,最判昭和33・4・11)
(3) 日常家事債務の連帯責任(同法761条準用,東京地判昭和46・5・31)
(4) 帰属不分明財産の共有推定(同法762条,大阪高判昭和57・11・30,広島高決昭和38・6・19)
(5) 内縁関係解消に伴う財産分与(民法768条準用,大阪高決昭和40・7・6,広島高決昭和38・6・19,東京家審昭和31・7・25等)
cf.一方の死亡による解消
    → 準用不可(最決平成12・3・10)
(6) 守操義務(同法770条1項1号準用,大判大正8・5・12)
(7) 祭祀財産の承継(同法897条,大阪高決昭和24・10・29)
(8) 社会保障法上等の取扱い
  例. 健康保険(健康保険法3条7項1号),労働災害の遺族補償年金(労働者災害補償保険法16条の2),遺族厚生年金(厚生年金保険法59条1項・3条2項),遺族基礎年金(国民年金法37条の2・5条8項),遺族補償(労働基準法79条,同法施行規則42条),育児・介護休業の申出や深夜業の規制(育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働屋の福祉に関する法律2条4号),公営住宅や公団住宅の入居者資格(公営住宅法23条1号),避妊手術の同意(母体保護法3条),居住用建物の賃借権の承継(借地借家法36条1項)等
  cf. 遺族厚生年金や遺族基礎年金の受給権者が事実婚状態に入ったときは,受給権を失い(厚生年金保険法63条1項2号,国民年金法40条1項2号・39条3項2号かっこ書),また母が事実上の婚姻状態にある場合は,児童扶養手当が支給されない(児童扶養手当法3条3項)。

2 内縁夫婦には認められない権利義務(婚姻法の不準用)

(1) 姻族関係の発生(同法725条3項)
(2) 成年擬制(同法753条)
(3) 夫婦間の契約取消権(同法754条,大判昭和10・3・12)
  cf. 高松高決平成6・4・19
内縁破綻前に締結した契約についても,取り消すことはできない。
(4) 夫婦同氏の原則(同法750条)
  cf. 戸籍法107条の「やむを得ない事情」に該当するときは,氏の変更が認められる場合があります。
(5) 子の嫡出性(同法772条)
(6) 共同親権(同法818条)
(7) 配偶者の相続権(同法890条)
(8) 所得税法上の配偶者控除(大阪地判昭和36・9・19参照)
 内縁関係を解消する場合,離婚と同様に財産分与の請求はできるのですか?
 判例は,内縁関係を解消する場合には,離婚の際の財産分与の規定(民法768条)の準用を認めています(大阪高決昭和40・7・6,広島高決昭和38・6・19等)。なお,一方の死亡による内縁関係の解消の場合には,判例は,財産分与の規定の準用を否定しています(最決平成12・3・10)。
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